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Channel: 美少女レスラー桜庭愛♪
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心に沸き立つ声に耳を澄まして

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私がその声に気がついたのは自分の力に気がついたのと同時期だった。
身体の内側から沸き立つような力。魔力とでも表現しようか・・・相手の動きが頭の中でリフレインされ攻撃を看破できるようになった。私はデビュー一年目の新人レスラー。その頃から幼い頃から習っていた拳法もあいまって相手の攻撃をいなしカウンターを叩き込むスタイルが確立されていった。
「・・・私の声が聞こえますか?」
意識を集中すると聞こえる声。試合中、意識が高揚しているときに聞こえた声がより鮮明に聞こえだしたのは苦戦を強いられたリング上・・・。私は大きくハイキックを繰り出そうとして、そのつま先が空を切った。
渦をまく世界、その前に一人の女性が居る。
顔を鉄製の仮面で隠し、ギリシャ神話のような銀色のドレスを身にまとった人。
思わずつんのめって見上げた先に私の名を呼ぶ女性。蹴りに体重を乗せていたため前のめりに転がってしまう。
「・・・桜庭愛さんですね?」
「はい。えと・・・あなたは?」
 
「私はウォーパル。三千界の鍵守」
「今、三千界は困難に瀕しています。・・・あなたの力をお貸しください」
 
聞けば異世界。様々な世界を旅しているという。
それはとても魅力的な申し出だった。ストリートファイトからプロレスに転向した私にはとても魅力的な・・・
(あ、でも・・・旅に出るのならアパート引き払わなきゃ・・・それよりもまずは試合・・・〉
 
「ごめん。その申し出は受ける・・・けど、今、試合中なの」
試合を終わらせてからと立ち上がろうとして最初に違和感に気がついた。
音が聞こえない。あんなにやかましかった会場の熱気や歓声の喧騒。顔をあげた私はその事実に驚愕する。
 
 世界が止まっていた。
声援をあげるファンたちの半開きの口。対戦相手のふてぶてしい顔。
世界がその一瞬に凍りついている。まるで時が止まっているように。異様な光景に私は背後の女性を睨んだ
 
「・・・これ?あなたがやったの?」
身構え、力を溜める。理不尽だと心が燃える。
 
「はい。あなたの力が必要だということがお分かりいただけましたか?」
コクンと頷く。その上で女神と名乗る女性は言った。力を貸してくれるのであれば好きな望みを叶えようと
 
・・・申し出を受けた。相手がどれほど自分を欲しているという事がわかったから
交渉の結果、試合前まで時間を遡って・・・控え室、消されたネームプレートを見つめる。
これが、私がWHにいくきっかけの物語。地球に私の居場所はない。私の世界だけが永遠に空間に固定されたまま・・・すべてが終わったとき、私の時間は動き出す。

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