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Channel: 美少女レスラー桜庭愛♪
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水脈、此処に至りて、大河と成す。

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・・・あなたは何処までいこうと思うの?
その声に私は振り返る。

黒い長い黒髪、憎悪に満ちた相貌。
人を憎み、妬み、そして怒りに満ちた憤怒の表情。
 同じ顔。違うといえば、私は笑顔で、相手は私を睨みつける。

「物語を語るのであれば、成功と失敗がつきものだ・・・」
幾多、紡いできた歴史。人であるならば、私もまた歩いてきた道がある。

逢魔は私に告げる。
・・・幾多、人を裏切り、人に裏切られてきたのか。

物語はひとつ。幕末。八の霊珠に導かれし犬士。
自分の『信』じる道のみ追い求め、敵に操られ姫殺しの呪いを受け化生となる。
・・・少女の四肢が変じ、人間の腕から禍々しい蟲の肢に変わっていく・・・

「憎い、憎い、憎い憎い憎い・・・」
人蜘蛛と変じた妖怪は私に拳をたたきつける。
槍の如き一撃をかわすと、節くれの手足が殺到する。後ろに跳んだ私を見る瞳は赤く理性すらない一匹の鬼と化していた。

「・・・桂。」
私は呟く。かつての名を。

「憎い。私は皆を守る為に自身が率先して事にあたった。
・・・この手は血に塗れようとも仲間のために、それが自分の主君を殺める事に。

涙をとめどなく流し女の女郎蜘蛛は嘲笑した。
襲い掛かる。爪を掻い潜り、黒鞘の太刀から左右に抜かれた刃、蒼い炎の如く、

迸る一閃の焔が血飛沫をあげて長い黒髪を地面へと転がす。

「・・・これで、あなたの悪い夢も終わりね」
私は塵となって消える影を見つめながら次の相手に向き直る。

・・・支配され、人の尊厳をかけて采配を奮う女武将。
最後は生き残り、さびしく主君から疎んじられ追放された。そのやつれた顔が前にある。燃える野営の焚き火の前で悲しく微笑んだ。
「私は主を守り、戦争をしていた。それなのに主君は理解してくれなかった」
啼きながら刀に手をかけた浪人を私は切り殺した。

「・・・ああ、」
黒い塵となって消えていく、かつての自分。敗北者たち。
その末路を見つめながら、黒い私に向き直る。

・・・長い黒髪の女性、一振りの神剣を携えし、女子高校生。
私の姿は消え、その少女に代わっていく。

「私の名は、水緒。水の剣霊にして人に転生したもの」
手に奮うは、カムナガラ。大太刀の闇払いし剣。

精霊天承とアーケンローズ。この世界で私たちは世界を冒険してきた。
・・・その影がふたつに分かれる。

ひとつは黒髪の桜庭愛。もうひとりは高柳水緒。
神剣の太刀が闇を切り払い、黒と白は混じりあいひとつの形となる。

「えと、・・・なまえ、聞いてもいいかな?」
私は同じ顔の私に告げる。

「うん、わたしの名前は、渡辺水緒(みお)♪」
フェリナス桂子の蒼月流を継ぎ、次の世界を渡るもの。」

「私は、エリュシオンではプロレスも出来たし、思い残す事はない。」
桜庭愛は告げる。桜庭愛の物語は此処で終わりだ。

「うん、愛ちゃんはよくやったよ。・・・楽しめた?」
その言葉に黒髪の少女は頷く。

「三千界では失敗したけど、エリュシオンで取り戻せた。
最後にプロレスもできたし、天使のカレシもできたしね♪、それに不動明王との仏縁は三千界で別れた最愛の人との縁だと思う」

「あなたの、カムナガラと同じだよ。水緒ちゃん♪」

・・・新天地には桜庭愛はいかない。
彼女は、世界を旅して、女子プロレスを広めていく。

新たな旅は彼女が行く・・・
すべての黒髪の長髪の女の子の唯一の成功者にして原点。渡辺水緒が。


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