美少女プロレスのリング。
熱狂覚めやらぬ試合の後の控室。
さくらは、長い黒髪の少女から話しかけられていた。
「んと、さくらちゃん。そろそろ身体も出来てきたし、
デビューしてもいいよ。どうする?リングにあがるの、まだ、怖いかな?」
話しかけた相手、桜庭愛はこの団体のチャンピオン。
《強くなりたい》という願いに応え、自分たちを鍛えてくれた恩人であり、この団体のオーナーでもある。
さくらは愛の真摯な視線に応えようとした。
「・・・前よりも怖くは無いです。自信がついたのかな?」
さくらの呟きに満足そうに愛は頷く。
(・・・あざみへの恐怖感がそう思わせているみたいだけど、トレーニングを通して自信がついたことで恐怖感を払拭できたみたいだね)
「・・・それで、デビュー戦の相手は?」
恐る恐るといった印象。さくらは私に尋ねる。
その質問に対して、笑顔で告げる愛。
「んっ、デビュー戦の相手は、わたしだよ」
経営者の立場から見て、試合を行うのだからその闘いに付加価値をつけたい。
木之本さくらという美少女レスラーの価値。それはまだ、原石のに近い。
その闘いで客を呼べるように。それが、経営者としての思惑であり、
その闘いで客を呼べるように。それが、経営者としての思惑であり、
選手としては、彼女を苛めたとされる葉月あざみに自分から打ち勝つ事で、
上下関係を払拭し、のびのびとしたプロレスを楽しんでもらいたいと思っている。
「・・・やります。愛ちゃんと試合します」
その応えに愛は満足げに微笑む。
(でも、経営者としては手放しに喜べないのだけど?)
・・・客を呼べない闘いであるならば選手には泣いてもらうしかない。
(でも、経営者としては手放しに喜べないのだけど?)
・・・客を呼べない闘いであるならば選手には泣いてもらうしかない。
18禁仕様なのはそのためでもある。
その覚悟は常にすべての選手に課してきた。それは、自分にも当てはまる。
経営者だからという逃げ口上は桜庭愛には存在しない。
(・・・あとは、あざみの方にも打診しておかないとだね)
さくらたちを苛めた真意、その他、諸々の事はだいたい把握しているが、
それでも闘わせるにあたりその辺を当人から聞いておきたい。
事によってはさくらを潰されかねない。
・・・言い含めておくことも必要であるかもしれない。
そう、愛は思い、執務室に向かうのだった。
そこに、すでに葉月あざみを待たせてある。
執務室で愛と葉月あざみが机二つを挟んで対峙している。
愛は長椅子に腰掛け、あざみは愛を見下ろしている。
「・・・私に何の用ですか。オーナー。」
選手としてではなく、経営者としての会話である事をあざみは理解していた。
愛は長椅子に腰掛け、あざみは愛を見下ろしている。
「・・・私に何の用ですか。オーナー。」
選手としてではなく、経営者としての会話である事をあざみは理解していた。
「さくらちゃんとの確執は聞いているけど。今日はあなたの口から真意を聞きたいと考えてあなたを呼んだの。」
「それで、何が言いたいのですか?」
睨みつけるような視線に愛は苦笑する。
「誤解しないで。さくらちゃんをデビューさせるからあなたの意見が聞きたいの」
「ふぅん、そう。・・・流石、愛ちゃん。その確執を集客に利用するのね。」
「ふぅん、そう。・・・流石、愛ちゃん。その確執を集客に利用するのね。」
あざみはふっと視線を流した。
過去に幾人もの男を誘った仕草である。
「それに、ここに呼んだのは理由があるんでしょ?・・・はじめての時もそうだったし」
あざみは愛に誘うようにソファに靠れて微笑む。
「・・・そんなつもりはなかったんだけど。」
あざみは愛に誘うようにソファに靠れて微笑む。
「・・・そんなつもりはなかったんだけど。」
オーナーの椅子から立ち上がり、あざみの隣に座る。
あざみはうっとりとした表情で愛に唇を寄せ、キスを交わした。
んっ・・・あふっ、んんんっ・・・。
(そう、さくらなんて今はどうでもいいの。)
あざみは既に木之本さくらに何の憎悪も抱いていない。
あざみは既に木之本さくらに何の憎悪も抱いていない。
自分が好きになった男がさくらの彼氏だった。それも今ではどうでもいい。
(今は、愛ちゃんを誘惑して、その心を独り占めにしたい)
赤らめた表情で、息苦しく唇を放す。
…試合に負けた相手であり、
自分の初めてを捧げた相手でもある。
(さくらを苛めたら愛ちゃんは困るかな?)
・・・自分に振り向かせたい。それが、葉月あざみの目的になっている。
歪んだ愛情。あの試合の様に。自分にむかってくる桜庭愛の憤懣の表情を想像しただけで葉月あざみの股間はきゅんっと、反応してしまうのだった。