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Channel: 美少女レスラー桜庭愛♪
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故郷

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イメージ 1額に汗が浮き、見上げた先に青い初夏の空と
重厚な城門が見える。苔むした冠木門を抜け、武家屋敷風の母屋の閂を外し、竈に火を入れる。
「・・・さてと、まずは布団干しだね♪」
群馬の奥山、幼少の頃、育った祖父の屋敷。今は荒れ放題の屋敷に一週間滞在し初夏の故郷をすごす事が天魔との戦いで命を落とした者たちの哀悼になるのだろうか。
・・・今は、この屋敷の所有者は自分である。
かつては天魔との抵抗勢力の拠点として機能した砦は今は閑散としていた。

群馬は一度、悪魔の手に落ち、今は解放されている。
この古い古城もその役割を終え、今はひっそりと朽ちていくのみ。
雨戸馬を開け、山の新鮮な空気を埃をかぶった屋敷に行き渡らせる。

水道は引かれていないため、井戸か、もしくは山腹の滝まで水を汲みに行かねばならないが。それも、いい鍛錬になる。肌に浮き出た汗も山の風にあたれば心地よい。

満杯になれば20kgぐらいになる木桶を担ぎ、蛇行する山道を進む愛。
耳に響くのは微かな水音。やがて、岩の割れ目から噴出す滝の前まで来た。

・・・よいしょっと、
水嵩は腰の辺りまで、滝壺に桶を沈めて、愛は気配を探る。
瞳を閉じて、周囲の気を感じ取るのだ。

「…んっ」
ビクッ…突然の悪寒が背中に走った。
直ぐに周囲に気を配る。

「おかえり」
滝壺の中から声が聞こえ、水に全身を濡らした髪の長い女の子が現れる。
愛はその少女に苦笑した。相変わらず、突然だなっと・・・。

「・・・ただいま」
愛はそう、いつもの笑顔をその少女にむけた。
少女も笑った。鬼灯のような笑み。その笑顔を最後に消える。

私は身じろいだ。
水面に映る影。水中に潜ったと判断し、腰を低く落とし身構える。

水しぶきをあげて踊りかかった少女に私は振り上げた蹴りをたたきつけた。
褐色の肌が吹き飛び、半回転して着水した。

(・・・相変わらず、身軽だね)
そのバランス感覚に舌を巻く。長い水銀色の長髪に褐色の肌。
相手がアップサイドに構え、腰まで水に浸かっているとは思えないほどの動きで私に襲い掛かってくる。両手で頬をねらってきたストレートを防御。

掴みかかる相手の腕を逆に掴んで投げ飛ばす。
幾重にも水飛沫があがり、全身、濡れてしまう。幸い、いつもの蒼いハイレグ姿。
「・・・また、速くなったね、ラクナゥちゃん」
対峙し、タイ国籍の少女に微笑む。

「・・・愛ちゃんこそ、すごいね」
肘打ちと膝蹴りの連続技を避けて相手も笑いかけて・・・。

「そうした、私たちの組み手はいつもの通りにはじまった。

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