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Channel: 美少女レスラー桜庭愛♪
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アルテラ100年祭

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街は活気に満ち溢れ人々は商品を並べ露店は軒をつらねていた。
KIZUNAのメンバーたちもこぞってこのアルテラ世界を祝うイベントに参加。
マフィア風の銀髪の男性が露店商に連れの女性に似合う首飾りを見繕っている姿に仲間たちに笑顔が浮かぶ。
各世界、各事情が絡み合い「まなびや」を通じて出会った仲間たちはギルドを興した。
そのギルドの門出となる最初の冒険。中世の街並みには不釣り合いな者たちも多い中でその少女は一層奇異の視線を引いていた。長い黒髪、少女らしい幼い顔立ち、しかしその風体は女子プロレスラーそのもの。
特異者・桜庭愛は女子プロレス用のリングコスチュ-ムを普段着にしていた。
「・・・魔導試験に応募するために来たんだけどさ」
露店で冷やした林檎を齧りながら一同を見回す。僧兵風の褐色の優男が行儀の悪い少女をたしなめつつ
「そうですね。桜庭さん。・・・若松さん、朔日さん、桜庭さんの三名が魔導騎士公用試験に参加」
わたしたしはその応援団といったとこです。
「ええ、ギルドリーダー様はやけに自信満々ですわね。」
コスプレメイドを自称する朔日弥生が微笑む。恰好はそうだがその甲冑と腰の佩刀は彼女の本職が剣士であることを指していた。ギルドの中でも屈指の実力を誇る戦士。そして、デェミトリオスが頷く。
「桜庭さんはいつものことですが、弥生さんは「元素への理解」はどう解釈を?」
「それについては試合で答えを出したいと思います。リーダーのように自身がるわけではありませんので」
 
・・・魔導試験。わかっていたことだが素養のないものにとっては狭き門であった。
 
闘技場から引き上げるギルドメンバーたち。
その中に少し肩を落とした愛も含まれていた。
(んー・・・やっぱりというか、行くとこ間違えたかも・・・)
プロレスラーならプロレスをしなきゃいけなかったのではないか?
闘技場で喝采を浴びるほうが桜庭愛むきであったかもしれない。そう後悔したがいつまでもくよくよしてはいられない。祭りを楽しもう。そう思い立ち、財布を確認。よし、大丈夫・・・
「お嬢様。門限です」そう呼び止められ・・・呼び止めた相手を振り返る。
「・・・なんであなたがいるの?」
「お嬢様は散財家ですから、試験がおわったら当帰さまにご連絡をと言付けておこました」
オートマタのメイドは恭しくお辞儀をして。転送門のゲートを開いた。
・・・そこには喧噪もなく、祭りの騒がしい喝采も残響のように邸内に響く。
「おかえりなさいませ。」
オートマタのメイドたちは私に恭しくお辞儀をした。
 
「魔導騎士はどうでしたか?ご主人様」
メイド長が言葉を掛ける。
 
「うん。・・・強かった」
思いだす。渾身の一撃すら一蹴された。得意な力。「元素への理解」だってあると自惚れて・・。
現実はそうはならなかったことが悔しくて、仲間の応援が居たたまれなくて・・・
「ご主人様、自棄になるのは勝手ではありますが、屋台の食事より私どもの用意した食事で悔しさを忘れてくださいませ」
 
・・・その日は行儀作法とか厳しいメイド長が何も言わなかった。
いっぱい食べて、お祭りの事を話して聞かせた。この屋敷から出れない自動人形たちを思うと不憫で。
話しつかれてうとうととすると、メイドたちは私を浴室まで連れて行き丹念に身体を洗ってくれた。
ベッドに入ると、意識をなくしていく・・・
 
「ご主人さま。今日も冒険おつかれさまです。また、この世界の冒険をお楽しみください」
幽霊屋敷の給仕たちは新たな主人を愛おしく、寝息がたつまで見守る。
 
それは母親のように・・・その少女を「わが子」のように。

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