東女の委託社員として会社側から預かっているレスラーのマネジメントを行う愛。
自身の団体経営に知識となるため業務を続けている。
・・・それとともに、選手たちの交流も出来るため、知識を得られ、かつ、自団体の興行に勧誘できるプロデューサーの仕事は桜庭愛にとって有意義なものだった。
「んー、それでも人間を扱う仕事だから、病欠や急な用途が必ずある。だから、選手兼社員みたいな私みたいのが重宝されるのだけどね♪」
そう、メモ帳を見つめつつ、今日の業務を考えるのだった・・・
リング☆ドリームの世界観。超大手の女子プロレス団体の傘下として多くの女子プロレス団体が乱立する。その中に愛の所属する美少女プロレスKIZUNAもあった。
雪女、ヴァンプ鈴森と同等の実力を持つ愛ではあるが、普段はレスラーの管理、調整を行うマネージャー業務を行っていた。
「・・・それで、ご用件は?」
社長室に呼ばれた愛。きょとんとしつつ社長の顔色を伺う。
東女の社長は変わり者で、思い付きを企画にしてしまう事もある人だからだ。
「・・・悪いが、愛。お前のとこに所属している選手を借りられないか?」
自分ではなく・・・という事でしょうか?
「それは、自分の一存だけでは決められない案件ですね。理由をお聞きしても?」
「いやぁ、ウチが発足する前、KIZUNAには世話になったし、お前にも世話になってる。だから・・・という訳じゃねぇんだが、うちのリングで試合してみねぇか?」
「・・・スポット参戦を?という意味でしょうか?」
「そうじゃねぇ、ウチの会場でお前と所属選手の試合が見たいって事だ。お前さんの団体、会員制だし、どんな選手がいるのかは知ってる。だが、どんな試合をするのかは・・・わからねぇからさ」
「ん、いいですけど、じゃあ、誰と試合するのかはこちらが決めていいのですか?」
東女の社長はにやりと微笑んだ。そして、その名前を口にする。
・・・ああ、なるほど、メジャーの空気を教えるのもいいかもしれない。
執務室に入ってきた選手に私は堅苦しいなっと苦笑して微笑む。
「ねぇ、桜井ちゃん、前にいったよね。私と、真剣勝負がしたいって。」