○富沢レイ(16分26秒サソリ固め)桜庭愛●
「今日もがんばるねー♪」
煌々とスポットライトをリングに投げかけている照明の明かりに照らされて愛嬌を振りまいている愛。
しかし、声援は先に入場したセーラー服を改造した水着のリングコスチュームを纏った富沢に持っていかれている。
それに少々、ムッとした表情になってしまっていた。
「うん、愛ちゃん。今日はよろしくね♪」
そんな愛の鬱屈した感情を気づいた風もなく、試合開始のゴングが鳴り響いたリング
対峙した富沢レイはそう言葉を投げかける。
「うん、いいよ。・・・いっぱい、試合しよう」
大きく腕を広げ、まずは力比べを誘った愛の挑発を受けた富沢。
がっちりとリング中央で力比べの体勢に。指と指を交差し、がっちりと腕四つに組み合った両者は力の均衡を持続させていく。それを一端、放したのは富沢が先、
「あうっ・・・んっ、あん!」
ビクッと戦慄き、すかさずハイキックを叩きつけた愛の一撃に身震い。
膝から崩れ落ちた富沢の前髪を掴み、強引に立ち上がらせる愛はブレーンバスター
「あんっ、あうっ・・・!」
背中を強打し、痛みに苦悶の表情、愛はロープに自ら跳んで、
起き上がり際の富沢にオーバーヘッドキックで強襲し、空中技で観客の心を掴む。
「ほら、レイちゃん。・・・こんなものかな?」
意地悪く倒れている富沢レイを見下す様に仁王立ちの愛。その挑発に奮起した富沢は愛に掌底を繰り出す。頬に当たった一撃にキッと向き直り、ここから打撃の応酬。
やや、大振りになってきた富沢レイのミドルキックを避け、背後に回りこもうとする愛だったが、それは・・・富沢の計略だった。振り向き様に手の甲を頬に叩きつける
バックハンドスピン・・・裏拳を叩きつける富沢の一撃を直撃してしまい。
両目を見開き、茫然自失になってしまう愛。
「愛ちゃん、いくよ・・・」
ふらつく愛をフェイスクラッシャーでマットに叩きつけ、苦悶のあえぎを上げさせる
そのまま、得意のサソリ固めをかけ、じっくりとスタミナを奪う作戦に出た富沢。
「あうっ、あっ、ああっ、うあっ・・・」
ギリギリと角度を絞っていく富沢の得意技。疲弊し、裏拳のダメージも大きい愛。
ロープブレイクを・・・必死にロープに手を伸ばすが、力が入らず、最後は無念のギブアップ。鳴り響くゴングに痛めた膝を抱え蹲ってしまう。
「どう?得意の寝技で負けたのは・・・?」
お返しの富沢の侮辱。愛は瞳に涙を浮かべ、睨みつけることしか出来ないでいた。