女子プロレスの試合会場。劇場を改装したリング。二階席はラウンジになっていて試合観戦をしながら食事や談笑できるつくりになっている。その二階席はあるギルドの受付場所になっていた。初心者救援ギルド【KIZUNA】問題を抱えた依頼者を守り追跡者の目をくらますことのできる場所。一階の喧噪とは異なり二階は質素で静寂によって支配されていた。依頼者は試合観戦のチケットを買い、秘密の扉から二階席に案内される。
高級感あふれる酒場のようなラウンジに通された依頼者は和服の少女との会話からその依頼にあったギルドメンバーを紹介される。そこで、ギルドメンバー個人とやり取りをして仕事を請け負うという依頼システムである。
「そうでしゅか・・・。ではその依頼はうちのリーダーがふさわしいかとおもいましゅ」
幼さが残る口調・・・陰陽師だと名乗る八雲という少女は私に一人の少女を紹介した。
それは、チケットや町の街頭に張ったこの団体のエース「桜庭愛」その人だった。
「・・・依頼というにはある場所の探索なのです。」
私はそう切り出した。
荒事になる可能性が十分にあったのと、この女子レスラーの強さに引かれたという意味合いも含めてこの依頼を持ち込んだ。この劇場型女子プロレス試合会場の所有者であり、ギルドマスターとしてギルドメンバーに場所を提供しているこの黒髪の少女は多くの荒事をその腕っぷしで解決していた。
「場所は、ある港町。そこには奇妙な噂がありまして・・・」
引果村。そう呼ばれる漁業で生計を立てている簡素な港町。学芸員を名乗った男性はそこに移り住み、先日失踪した小説家の安否確認と彼が所有していた年代物の書籍の確保。」とのことだった。
「・・・わたしが直接、いくことが本来正しいのですが、その村にはある伝承・・・言い伝えがありまして」
そう切り出した依頼者は蒼白な顔で語る。
「・・・その村には怪物がいると」
それに興味をひかれた。突如として行方不明になった有名な小説家。
彼が所有するその地域の伝承をまとめた説話集。その漁村に出没するという怪異。
・・・どれをとっても冒険にふさわしい魅力あふれる依頼である。当然、二つ返事で依頼を受けた。
彼はとても喜んでいた。気味の悪いいわくありげな場所に自分のかわりに行ってくれる人間が出たのだから当然といえば当然である。顔色をいくぶんよくしながら退出した彼を見送りながら私はうきうきとしていた。
「・・・怪物がでる漁村ね」
「愛ちゃん、あぶないことはしないでしゅよ?」
占いの結果が悪かったのであろう姉の八雲離珠が不安そうに告げる。
それに私はいつも通りの笑顔で大丈夫だよと微笑んで見せた。
桜庭愛(さくらばまな)
身長163㎝ 体重58㎏
女子プロレスラーとして知られるフリーランスの少女。
雑学、探究心み優れ幾多の荒事を解決に導いた。
小柄ながら大の男すら打ち倒す戦闘能力を有し、魔法の力に目覚めてからはその能力も付与した技の切れ味をもつ、
『フィジカルアデプト(魔法に目覚めた女子レスラー)』
魔的な感覚を有し、伝承、古事、魔物知識を駆使した戦闘を行う。
劇場型美少女プロレス団体の経営者。
プロレスラーとしては、ルチャ・リブレを主体としたストロングスタイルで、パワーボムをフィニッシュムーブとしている。
魔法は
蹴り技に闘気を纏わせる攻防一体の付与魔法。
腕に纏わせての攻撃を捌いたり、蹴りに纏わせ攻撃力を高めたりもできる。
その他に自身や他者の回復力を促進させる治癒魔術。
念動力(サイコキネシス)など。