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Channel: 美少女レスラー桜庭愛♪
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正義の味方

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イメージ 1「また来たのか、こりないなぁ、人間」
鋼の様な筋肉が黒く染まるように空気中の鉄分を取り込み、
装甲にしていく。これが、悪魔騎士の「変身」
それを愛は一瞥し、黒瞳を深く睨みつけた。
…相手の防御は強く、変身を重ねるたびに強くなる。
だが、それも過去の敗北でわかっている。

前進するたび、その一歩がより力強さを帯びる。
自身の気をすべて防御に回し、鋼に変える防御形態。

「八極拳」それが桜庭愛が得た中国武術である。
さらに自身が着るレオタードは不動明王から贈られた霊糸を編んで作った皮鎧であり、
腕に巻くリストバンドもまた格闘能力を高める魔具である。

蒼い気を纏う少女は…悪魔騎士の装甲と同じ防御力をもったのだ。イメージ 2
「いくよっ」
腰に装備していた古めかしい弓を取り、番える。
鏃に小さな小瓶を括りつけ、矢は瘴気を切り裂いて着弾。爆ぜながら周囲に薬品を振り撒く。白い軌跡を描きながら空気中に触れた液体は瞬時に固着を開始。

「ぐあぁ…、なっ何だこれはぁ」
敵の周囲が石化し、足元が動けなくなる。それを見て、さらに一歩、愛の身体は前に、敵に向って殺到した。

「くっ、だがっ、俺が攻撃できないと思っているのか?」
鎧兜の外見で男は嘲笑の態度を見せた。
腕に力をこめ、周囲の空間が歪む、その瘴気を解き放つように一気に黒い突風が愛に殺到した。衝撃波となり周囲を一気に崩壊させる。そんな正拳突き。

美少女レスラーの身体に突き刺さりその身体に無数の傷をつける。
その風を蒼い炎が焼き尽くした。土煙を上げる。男の顔に笑みが浮かぶ。

嘲りの表情が鎧面に現れていた。
その顔を驚愕に帰るように土煙を振り払うように黒髪が夜気にたなびく。

 「馬鹿なっ」
「馬鹿はそっちよ。私はあなたを倒すために鍛錬を積んできた」

愛の瞳がさらに深く、獰猛な狼のように鋭く獲物を見定めて…
その手が合わさり、合掌を結ぶ。

「ぐっ、…これはぁ」
ギリギリと鎖が絡めとるように男に展開した。束縛するようにその場に縫いとめる
悪魔騎士は重圧に捕らわれつつ顔をあげ、少女を見た。

「なっ、なんだ。お前は、一体、何を背負っている」
周囲に展開した結界。それは術者である桜庭愛も巻き込むように展開している。
その見えない鎖を手繰り寄せているのは背後の憤怒尊。
炎を纏い、手に退魔の大剣を担ぎ、悪魔騎士を睨むその姿は不動明王。

その剣が少女の号令とともに一気に奮われた。
衝撃とともに男の鎧は四散していく。幾重にも奮われる斬戟で男は踊りを踊るしかない。嵐に舞う木の葉のように男の身体は吹き飛び剣戟の音が止むと…

膝から崩れ落ちるように男は倒れた。
顔を上げる。痛みで身体は思うように動かない。

そこに影が差す。
手を差し伸べるように…笑顔で屈んでいる少女の笑みがあった。

「んっ、…私の勝ち。でいいよね?」
相手の戦意のみを挫く、それが悪魔であれ、殺生はしない。
その矜持が不動明王の心を動かし、少女の求めに応じて力を貸しているのだ。


 それが正義の味方、桜庭愛の信念である。

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